循環器内科医の本棚

循環器内科医による患者さん、一般内科医、研修医のためのブログ

高LDL-C血症を見たら:一次予防

高コレステロール血症が動脈硬化のリスクになり、さまざまな心血管イベントを起こすことは改めて説明するまでもないと思います。

特に既往はないけれど、健診異常や血液検査を行ったらたまたまコレステロールが高かった。今日はそういう一次予防の場合について説明します。

 

LDLコレステロールが重要

LDL、HDL、トリグリセリド、脂質異常にはいろいろありますが、まず、LDLコレステロールの管理が最重要です。LDLと動脈硬化性疾患の関連を示すエビデンスがダントツに多いからです。140㎎/dL異常で高LDLコレステロール血症の診断となります。

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脂質異常症診断基準(動脈硬化性疾患予防ガイドライン)

 まずはリスク評価

コントロールの目標値はリスクによって異なってきます。なので、まずはリスク評価を行い、目標値を決定します。

動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは下記のフローチャートが提唱されています。吹田スコアを用いるものがありますが、やや煩雑なので下記の簡易版が使いやすいかと思います。動脈硬化疾患発症予測アプリもあるようなので使用してもよいかもしれません。

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リスクに応じた管理目標のためのフローチャート(動脈硬化性疾患予防ガイドライン)

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リスク区分別脂質管理目標値(動脈硬化性疾患ガイドライン)

治療は生活習慣の改善からスタート

一次予防の場合はすぐに薬物療法は行わずに生活指導から行います。食事療法、運動療法、禁煙などを指導します。数か月経過しても改善が得られない場合、一時予防でも高リスクの場合は薬物療法を考慮します。

 今日の本

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版(図が多く、読みやすいのでおすすめ。薄いのでパラパラと読破できます。)

脂質異常症診療ガイド2018年版(動脈硬化性疾患予防ガイドラインとかぶる部分はありますが、脂質異常症についてはこちらのほうが詳しいです。こちらも薄くて読みやすいです。)