循環器内科医の本棚

循環器内科医による患者さん、一般内科医、研修医のためのブログ

本紹介:心電図の読み方パーフェクトマニュアル

研修医にお勧め!


 

ちょっと大きくて分厚い(350ページほど)ですが、研修医の皆さんには絶対的におすすめな心電図の本です!私も何度もこれを読んで勉強しました。

心電図の基本→正常心電図→波形の異常 という順序で載っています。

軽視されがちですが、一番大事なのは正常波形を理解する、ということだと思います。正常波形がどんなものかを知らなければ、何が異常かわかりませんよね。

そしてこの本はP波の形がおかしい、STの上昇、T波の陰転化など、波形の異常ごとに載っており、臨床に即していて勉強しやすいです。実際には心電図の波形の異常を見て診断するわけで、初めから心筋梗塞、心房細動などとわかっているわけではないですよね。また、P波、QRS波、ST、T波と順番に読んでいくことで見逃しが少なくなります。

心電図波形や模式図が多くて読みやすいので、心電図の本をまだ持っていない研修医の皆さんは是非これを読破してください。

心電図の読み方

①調律は?

②心拍数は?

③P波は正常か? 形、幅

④PQ間隔は正常か?

⑤QRS波は正常か? 軸、幅、ブロック波形、異常Q波はないか?

⑥STは正常か? ST上昇、ST低下はないか?

⑦T波は正常か? 陰性T波、T波増高、T波平坦化はないか?

⑧QT延長はないか?

この順に読んでいく癖をつければ、見逃しが少なくなります。例えば心房細動に注目するあまり、異常Q波を見逃すということがないようにしないといけません。1つずつやっていくと1冊の本が出来上がるほどのボリュームなので、今回は割愛します。

どうしたら心電図が読めるようになる?

心電図の勉強の難しい点は本を読んだだけでは読めるようにならないということです。ST上昇の際に鑑別しなければならない疾患は知っていても、臨床の現場では「この波形ってST上昇って判断していいのかな」と、波形の解釈に迷うことが多いと思います。

研修医の先生方はできるだけ実際の患者さんの心電図に触れるようにし、わからないもの、解釈が難しいものがあれば、上級医の先生に聞く、ということを繰り返すと自分の知識になっていくのではないかと思います。研修医のみなさん、がんばってください!