糖尿病の薬って多すぎる!結局どれを使えばいいの?という疑問から手に取った本です。
安定のメトホルミン
この本には糖尿病にまつわるたくさんのエビデンス、解釈の仕方が掲載されています。
糖尿病専門外の私が最も感じたのはメトホルミンの安定感。新しい薬が次々と出てはいますが、大血管発症・死亡の抑制に最もエビデンスがあるのはメトホルミンなのです。糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会 糖尿病標準診療マニュアルにも第一選択薬として記載されています。こちらはオンラインで読めて、一般診療所・クリニック向けにわかりやすく記載されています。16ページほどで大変おすすめです。
メトホルミンの注意事項としてはeGFR<30未満や75歳以上の高齢者では新規導入を行わないこと、ヨード造影剤使用時や手術時には48時間以上の投与中止、があります。
DPP4阻害薬 使いやすいけどエビデンスに乏しい
DPP-4阻害薬はGLP-1などを不活化させる酵素であるDPP-4を阻害することにより、インスリンの分泌促進、グルカゴンの分泌低下を促進する薬です。腎機能低下例や1日1回内服のものがあることから、使用しやすい印象はありますが、大血管イベントを抑制するエビデンスはありません。
期待のSGLT2阻害薬
SGLT2阻害薬は心血管イベントの抑制、死亡率低下を示唆するエビデンスがあります(本書にはエビデンス解釈における注意点が書かれていますが)。また、SGLT2阻害薬は心不全入院を減らすとのエビデンスもあり、糖尿病がなくても心不全薬として使われてきています。
腎機能障害や脱水には注意ですが、心不全薬としても期待の薬かと思います。
他にも糖尿病にまつわるエビデンスと解釈が多数記載されています。通読できる量ですので、糖尿病診療に関する知識をブラッシュアップしたい方におすすめです!
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