循環器内科医の本棚

循環器内科医による患者さん、一般内科医、研修医のためのブログ

こんなときどうする?心房粗動

新企画 「こんなときどうする?」

実際に循環器専門外の先生から受けた相談やご質問をシェアするコーナーです。

同じような症例で困っていませんか?

※必ずしも正解の対応かはわかりませんが、参考にしていただければと思います。また、こういう対応のほうが良いのではないか?などご意見ありましたら、コメントお待ちしています。

症例 心房粗動

動悸を主訴として受診された65歳男性。心電図では心房粗動でした。ベラパミルIVで症状改善したというエピソードが2回あります。今後どうしたらよいでしょう?

既往歴:心筋梗塞(1年前に発症、バイアスピリン・エフィエント内服中)、高血圧

対応 抗凝固療法開始とレートコントロール、アブレーションおすすめ

①抗凝固療法

心房粗動の抗凝固は心房細動に準じて行うことが多いです。この方はCHADS2 1点なのでDOAC導入としました。PCI後でバイアスピリン、エフィエント内服中ですが、治療から3か月以上が経過していますので、バイアスピリン終了し、エフィエント+DOACとしました。

②レートコントロール、アブレーション

心房粗動の場合は抗不整脈薬の効果が限定的ですので、薬で治療というよりはアブレーションが望ましいと思われます。発作時の症状が強いとのことでベラパミル屯用でレートコントロールとしましたが、頻度が増加して困る場合はアブレーションがよいでしょう。

心房細動の時にはPill in the pocketということで屯用のピルシカイニドが使用されることがありますが、①心房粗動に対してはそもそも効果があまりない ②Ic flutterといって心房細動→心房粗動になることがある ③心筋梗塞の基礎疾患がある という理由からI群抗不整脈薬は使わないことが多いと思います。