循環器内科医の本棚

循環器内科医による患者さん、一般内科医、研修医のためのブログ

ペースメーカー、ICDが入っている患者さんの処置

f:id:drtottoco:20210201204951p:plain

 

ペースメーカ、植込み型除細動器(ICD)をまとめて心臓植込み型デバイスと言います。

開業医の先生方から時々、これらのデバイスに関してお問い合わせを頂きます。「ペースメーカが入っている患者さん、○○はしてもよいですか?」

〇〇はMRIであったり、手術、内視鏡治療などです。

 

 

デバイス植込み患者のMRI

MRIは強い磁場が働くので、体内金属が入っている方は基本的には不可となりますが、MRI対応の心臓植込み型デバイスであれば撮影は可能です。MRI対応のデバイスの場合は必ず「MRI対応カード」を発行しています。患者さんはペースメーカ手帳やICD手帳を携帯しており、MRI対応カードが発行されている場合には手帳のポケットに保存していることが多いです。患者さんの手帳を見せてもらいましょう。

MRI対応であることが分かった場合、MRI撮影は可能ですが、設定変更が必要となります。通常リードでセンシングや心室性不整脈の検出を行っていますが、その機能をオフにしなければなりません。ペースメーカ患者さんでは例えばVOOという設定にして、自己脈は検出できないけれど(センシングオフ)、勝手に最低心拍数でペーシングするモードにします。設定変更と撮影には医師、MEもしくは業者の立ち合いが必要となります。そのため、例えば整形外科単科の病院では撮影できません。デバイス植込みを行っているような総合病院へ依頼するのがよいでしょう。

ちなみに時々PCIのときのステントについてもご確認を頂くことがあるのですが、ステントに使用されている金属はコバルト、クロムなど非磁性体なので、MRIは全く問題ありません。

手術や処置 電気メスは使ってよいか?

こちらもご質問が多いのですが、基本的には体表に対極板を貼る必要があるユニポーラの電気メスはセンシングや不整脈の検出設定をオフにする必要があります。バイポーラメスであれば挟んだ部分にしか電流は流れませんので、設定の変更は必要ありません。

放射線治療やPET-CT

通常、心臓デバイスは放射線は問題にならないことがほとんどです。しかし、癌の放射線治療やPET-CTは線量が多いため、デバイスの部分は避けて当てて頂くほうが無難なようです。

 

上記が基本となります。わからなければ普段デバイスを管理されている病院に問い合わせて頂くのがよいと思います。