入院中の患者さんの心房細動(AF)、よく他の科の先生方からコンサルトを頂きます。
入院中ってどうしても心房細動出やすいですよね。特に術後は手術の侵襲や脱水が影響して心房細動になる方多いです。術後心電図モニターを付けているので、本人は何の症状もなくても見つかってしまうんですよね!
入院中の心房細動発作の対処の例を挙げていきます。
AFに伴って血圧が下がってしまうとき、症状が強いとき
症状の有無に関わらず、血圧が下がってしまう場合にはすぐに対処しなければなりません。レートコントロール、リズムコントロールどちらでもよいと思います。
レートコントロールの場合はβ遮断薬を使います。心機能がよいことがわかっていればベラパミル(内服、静注)を使ってもよいです。どのくらい血圧が下がって緊急性があるかにもよりますが、β遮断薬は内服、静脈注射(ランジオロール 商品名:オノアクト)、貼付薬(ビソプロロール 商品名:ビソノテープ)があります。あまり急がない場合は内服でもよいですし、貼付薬も比較的速やかに効くので、術後で内服困難な場合にはよいでしょう。血圧がかなり低下してしまう場合はリズムコントロールもしくはランジオロール点滴がよいです。
抗凝固薬を内服していなくて、リズムコントロールの場合には発症から48時間以上経過していないことが必須になります。これまで心房細動を指摘されておらず、発症から48時間以内であれば血栓のリスクは低いので、サンリズムの投与や電気的除細動をしてもOKです。
血圧低下、無症状のとき
こういうときは焦らず経過観察でよいです。ただし、HRが高すぎると心不全を来してしまう場合があるので、HR<110キープが目標です。急ぎませんが、HR>110がしばらく続くようであればβ遮断薬などでレートコントロールをするほうがよいでしょう。
その後の抗凝固薬は?
持続時間とCHADS2 scoreで決定します。
CHADS2 score 0点、持続時間も数時間であれば抗凝固薬はすぐに導入せずに経過フォローします。心電図モニターを継続し、以降発作が出なければ抗凝固薬をすぐに始める必要はありません。治療中の疾患の状態が落ち着けば、PAFは出なくなるかもしれません。
CHADS2 score 1点以上、持続時間が長い、持続時間は短くても複数回PAFを来すようであれば抗凝固薬は入れて、退院後も継続するほうがよいでしょう。